暗い部屋の中

気付いたらそこにいた

寒い、暗い、一人きり

彼女は何も考えたくなかった

 

もう一度眠ろうとしたとき

重い金属音と共に光が差し込んできた

眩しさを堪えながらそちらを向くと

一人の男の姿があった

 

もう誰でも良かった

一人でいるのが嫌だった

そんな思いで彼に近づいた瞬間

彼女の意識はどこかへ消えた

彼はこの体が欲しかった

この体さえあればなんでも良かった

中身なんて必要としなかった

そのはずだった

 

何かが足りなく感じた

動かない体に手を添えた

その瞬間に彼は気付いた

中身も含めた全てが欲しかった事に

 

彼は考え続けた

その答えが見つかるのは

そう遠くもなかった

彼は彼女の体へと入った

彼は次第に変わっていった

彼女の体の中にいることで

彼自身の意識が消えかかっていた

しかし彼はそんなことどうでも良かった

 

月日は経ち

彼女は幸せな日々を暮らしている

今日も変わらずに続いてく

はずだった

 

一人の男に連れ去られ

行方不明となった

彼女は暗く寒い小さな部屋で

孤独を感じるであろう